中原中也-初期詩篇
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20.[名無しさん] 〜ためいき〜
河上徹太郎に
ためいきは夜の沼にゆき、
瘴気の中で瞬きをするであらう。
その瞬きは怨めしさうにながれながら、パチンと音を立てるだらう。
木々が若い学者仲間の、頸すぢのやうにであるだらう。
夜が明けたら地平線に、窓が開く(あく)だらう。
荷車を挽いた百姓が、町の方へ行くだらう。
ためいきはなほ深くして、
丘に響きあたる荷車の音のやうにあるだらう。
野原に突出た山ノ端の松が、私を看守って(みまもって)ゐるだらう。
それはあつさりしてても笑はない、叔父さんのやうでもあるだらう。
神様の気層の底の、魚を捕ってゐるやうだ。
窓が曇ったら、蝗螽(いなご)の瞳が、砂土の中に覗くだらう。
遠くに町が、石灰みたいだ。
ピョートル大帝の目玉が、雲の中で光つてゐる。 09/28 18:56 au
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