中原中也-初期詩篇
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9.[名無しさん] 〜秋の一日〜
こんな朝、遅く目覚める人達は
戸にあたる風と轍との音によつて、
サイレンの棲む海に溺れる。
夏の夜の露店の会話と、
建築家の良心はもうない。
あらゆるものは古代歴史と
花崗岩のかなたの地平の目の色。
今朝はすべてが領事館旗のもとに従順で、
私は錫と広場と天鼓のほかのなんにも知らない。
軟体動物のしやがれ声にも気をとめないで、
紫の蹲んだ影して公園で、乳児は口に砂を入れる。
(水色のプラットホームと躁ぐ少女と嘲笑ふヤンキイはいやだいやだ!)
ぽけっとに手を突込んで
路次を抜け、波止場に出でて
今日の日の魂に会ふ
布切屑(きれくづ)でも探して来よう。 09/28 18:53 au
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